- ゲーンとは
- タイのカレーを【9種類】紹介+おまけ
この記事では上記のことを解説していきます。
「ゲーン」というのはタイの煮込み料理全般を指します。
そして主にタイのカレーを指すことが多いです。
日本で知られているタイカレーは、ザックリと分けて3種類くらいでしょう。
しかしタイのカレーは地域によって、様々な種類が存在します。
実は「ゲーン」と料理名に付いているけど、タイカレーとは呼ばれていない料理もいくつかあります。
この記事前半ではゲーンについての基本解説。
後半ではタイのカレー8種類を紹介をしていきます。
ついでにレッドカレーとパネーンカレーの違いについても解説。
この記事一つでタイカレーにはかなり詳しくなれるはずです。
ぜひ参考にしてみてください。それではいきましょう!!!
タイのカレーおすすめ8種類紹介
ゲーンとは
タイ語 | แกงเขียวหวาน |
---|---|
パクチー | 料理次第 |
辛さ | 料理次第 |
- ゲーン→煮込み料理全般
- プリック→唐辛子
- (ナム)プリックゲーン→カレーペースト
まず、そもそもゲーンとは【タイの煮込み料理全般】を指します。
日本で一般的にはタイカレーを指すことが多いようです。
ただし「ゲーン」と料理名についていても、日本ではタイカレーと呼ばれない料理もあります。(※例は記事後半)
また、煮込む料理であっても「ゲーン」と料理名につかないタイ料理もあるのです。(※例は記事後半)
タイカレーのザックリとした特徴は以下の通りです。
- ココナッツミルクを使用するものが多い。(※例外あり)
- ハーブとスパイスの両方を使用。
タイカレーは以下のものと一緒に食べます。
- カーオ→ご飯
- ロティー(全粒粉の無発酵パン)
- カノムチーン(タイ風そうめん)
ご飯とタイカレーを分けて提供されることもありますし、日本のカレーライスのように同じ皿に入っている場合もあります。
さて、タイカレーには「(ナム)プリックゲーン」と呼ばれるタイカレーペーストを使用します。※(ナム)は以後省略。
例えば、
- プリックゲーンペット(レッドカレーペースト)
- プリックゲーンカリー(イエローカレーペースト)
- プリックゲーンマッサマン(マッサマンカレーペースト)
といった感じです。
プリックゲーンはクロックヒン(料理用の石臼)でスパイスやハーブを叩いて作ります。
本当にとても大変な作業なので、タイでも普通の人は市場やデパートで購入することが多いです。
タイカレーにはココナッツミルクベースのものが多いですが、水(または出汁)を使用するタイカレーもあります。
本場のプリックゲーンは、日本のカレールーとは違い「ココナッツミルクに溶かすだけでは完成しない」ということだけ覚えておきましょう。
プリックゲーンはつまり、ただのスパイスやハーブのペーストです。
一応、塩、カピ(海老の発酵調味料)は入っていますが、それでも塩分がどうしても足りません。
ナンプラーなど使用し、味付けを自分でします。
ちなみに「プリックゲーン」と「ナムプリック」は別物で、ナムプリックはタイカレーとは関係ありません。
ただし、「ナムプリックゲーン=プリックゲーン」ではあります。
名前的にもペースト状の見た目が似ていますので、非常にややこしいのですが、お気をつけください。
とはいえ……???……??……はぁ!?ですよね。
大丈夫です。置き去りにしないよう、整理用として以下に記しておきます。
- プリックゲーン→タイカレーペースト
- ナムプリックゲーン→タイカレーペースト
- ナムプリック→タイ風ディップ
タイカレーの辛さの注文
大切なので先にタイカレーにおける注文方法をザックリと解説しておきます。
(タイで食べる)タイカレーで知っておかなければならないことは「辛さ=0」にすることが基本的に無理ゲーだということです。
先ほど解説したように、タイカレーにはプリックゲーン(カレーペースト)を使用します。
特に飲食店では絶対に先に用意しているはずです。
注文が来てからカレーペーストを作り始めていたら、提供に30分以上は軽くかかりますからね。
辛いのが絶対に無理!という方は、そもそもタイカレーを注文しないほうが無難です。
日本でのタイカレーは辛さのレベルを選べる店が多いようですが、ペーストを作る時点でかなり抑えているのだと思います。
つまり日本で食べるタイカレーは調理時に調節できるということですね。
- ペーストに唐辛子入り→調節無理ゲー(タイ)
- ペーストに唐辛子かなり少なめ→調節可能(日本)
タイにおける辛さの注文方法に関して詳しくはこちら。
さぁ、前置きはこの辺にして、ここからは本題のタイカレーを8種類紹介していきます。
1.ゲーンキアオワーン(グリーンカレー)
タイ語 | แกงเขียวหวาน |
---|---|
辛さ | |
パクチー | あり |
- ゲーン→煮込み料理全般
- キアオ→緑
- ワーン→甘い
ゲーンキアオワーンとはいわゆる【グリーンカレー】のことです。
味を一言で表すなら、ココナッツミルクベースのハーブカレーといった感じ。
おそらく日本で最も有名なタイカレーでしょう。
そして最も賛否両論、好き嫌い両極端なタイカレーといっても過言ではありません。
自分自身、少し苦手なタイカレーです。
ゲーンキアオワーンを直訳すると「甘い緑カレー」となります。
- キアオ(緑)→基本的に緑色の食材を使用。
- ワーン(甘い)→正直甘さよりも辛さを強く感じるでしょう。
有名な料理ですが、初めてタイ料理を食べる人にはおすすめできない料理かなと思います。
なぜこの賛否両論カレーが日本で一番有名なのかマジで謎。
念のために言っておくと、グリーンカレーが好きな方をディスっているわけではありません。
もっとみんなが食べやすいタイカレーがあるという意味です。
2.ゲーンペット(レッドカレー)
タイ語 | แกงเผ็ด |
---|---|
辛さ | |
パクチー | なし(レシピ次第ではパクチーの根) |
- ゲーン→煮込み料理全般
- ペット→辛い
上の動画はタイ人の作るレッドカレーペーストの作り方なので参考にしてみてください。
ゲーンペットを日本語にすると【レッドカレー】となります。
レッドカレーは赤色の唐辛子とハーブ、そしてスパイスを使用したタイカレーです。
(グリーンカレーはハーブ食材が主体。)
レッドカレーと呼ばれているように見た目の赤色が特徴です。
赤色の唐辛子は緑色の唐辛子より風味豊かで、若干甘くなります。(※とはいえ日本の唐辛子よりはだいぶ辛く尖った辛さですよ。)
そして、レッドカレーペーストが一番の基本のタイカレーペーストです。
レッドカレーペースト(プリックゲーンペット)は様々なタイ料理に使用されています。
例えば、
となります。
パットペット(レッドカレー炒め)に関しては、基本的にどんな食材と一緒に炒めてもパットペットです。
そのため、レッドカレーペーストは、タイでは家庭料理でもよく使用されています。
3.ゲーンパネーン(パネーンカレー)
タイ語 | แกงพะแนง |
---|---|
辛さ | |
パクチー | あり(パクチーの根+コリアンダーシード) |
- ゲーン→煮込み料理全般
パネーンカレーはレッドカレーと非常によく似ています。
パネーンを日本語にすると【ピーナッツ風味のドロドロタイカレー】といった感じです。
ペーストもほぼ同じ材料で作ることができます。
パネーンペーストは、レッドカレーペーストに以下の食材を足して作ります。
- イーラー→クミン
- メットパクチー→コリアンダーシード
- トゥアリソン→ピーナッツ
レッドカレーはどちらかというと煮込みスープ料理という感じですが、パネーンは火が通ったらOKというスタイル。
パネーンの方が粘度が高く、日本のカレーと同じようにご飯にかけて食べることもできます。
パネーンとレッドカレーの違いをまとめておきます。
- パネーンペースト=レッドカレーペースト+クミン+コリアンダーシード+ピーナッツ)
- 粘度が高く、濃厚でマイルド。
- あまり煮込まない。
4.ゲーンカリー(イエローカレー)
タイ語 | แกงกะหรี่ |
---|---|
辛さ | |
パクチー | あり(パクチーの根) |
- ゲーン→煮込み料理全般
- カリー→カレー
上の動画はタイ人の作るイエローカレーペーストの作り方なので参考にしてみてください。
ゲーンカリーは、日本語にすると【イエローカレー】です。
グリーンカレーやレッドカレーに比べると辛さはだいぶ控えめでマイルド。
そして、大きく異なるのはスパイスが主体のタイカレーということです。
プリックゲーンカリー(イエローカレーペースト)は簡単にまとめると以下の通り。
イエローカレーペースト=レッドカレーペースト+カレー粉+ターメリック
黄色い色の正体はカレー粉(黄土色)とターメリック(黄色)となります。
カレー粉というのはブレンドスパイスで、日本のカレー粉に似たものだと思ってください。
具材にじゃがいもを使用するのも特徴的ですね。
ちなみにイエローカレーに使用するポンカリー(カレー粉)はタイ料理で他にも使用されています。
例えば、
などがあげられます。
どちらも日本人好みのタイ料理です。
5.ゲーンマッサマン(マッサマンカレー)
タイ語 | แกงมัสมั่น |
---|---|
辛さ | |
パクチー | あり(パクチーの根+コリアンダーシード) |
- ゲーン→煮込み料理全般
- マッサマン→イスラム風の
ゲーンマッサマンとは日本でも有名なマッサマンカレーのことです。
一時期は世界で最も美味しい料理と言われたこともあるマッサマンカレー。
マッサマンカレーはスパイスとハーブの両方を使用しますが、スパイスの比率が高めです。
酸味を加えるためにタマリンドを使用します。
そして具材の特徴として、ピーナッツが入るのも特徴的ですね。
マッサマンカレーの特徴をまとめると
- ペーストのうちスパイスの比率が高め。
- 具材としてピーナッツが入る。
- 酸味付けにタマリンドを使用する。
ちなみに、プリックゲーンマッサマン(マッサマンペースト)は、サテ(イスラム風串焼き)にもよく使用されます。
6.ゲーンハンレー
タイ語 | แกงฮังเล |
---|---|
辛さ | |
パクチー | 基本なし |
- ゲーン→煮込み料理全般
- ハンレー→豚肉(ミャンマー語)
ゲーンハンレーは日本語にすると【タイ風ポークカレー】といった感じです。
元々はミャンマーから来た料理で、ミャンマー語で「ハンレー」が豚肉を意味します。
ゴロゴロっと入った豚肉、味付けにタマリンドを使用、そして生姜がよく効いているのが特徴。
日本人にとって非常に食べやすく、タイカレーの中では一番好きという方も多いのではないでしょうか。
ココナッツミルクを使用しない+スパイス系のタイカレーということが理由かもしれません。
タイ北部の名物カレーですが、今はタイ全土で食べることができます。
日本でなかなか食べることができないので、タイ北部旅行の際は、ぜひ一度は食べてみてください。
7.ゲーンソム(酸味カレー)
タイ語 | แกงส้ม |
---|---|
辛さ | |
パクチー | 基本なし |
- ゲーン→煮込み料理全般
- ソム→酸っぱい
ゲーンソムを日本語にすると【酸っぱいカレー】といった感じです。
タイカレーでは珍しくココナッツミルクを使用しません。
ゲーンソムは、その名の通り「酸っぱいカレー」なのですが、「ソム」というのは「みかん」という意味もあります。
そして見た目がオレンジ色ということもあり、日本や英語圏では「オレンジカレー」と呼ばれていることもしばしば。
「カイチアオチャオム」と呼ばれる「臭菜の卵焼き」との相性が抜群です。
ゲーンソムを注文する際は、カイチアオチャオムとセットで頼んでみることをオススメします。
ちなみにココナッツミルクを使用しないタイカレーは、他にも
- ゲーンパー(森の幸カレー)【英名:ジャングルカレー】
- ゲーンタイプラー(タイ南部激辛魚の内臓塩辛カレー)
などがあります。
8.カオソーイ(揚げ麺のせカレーラーメン)
タイ語 | ข้าวซอย |
---|---|
辛さ | |
パクチー | あり |
カオソーイを日本語にすると【揚げ麺のせカレーラーメン】といった感じです。
カオソーイは「ゲーン」と名前に入っていない唯一のタイカレー。
タイカレーという部類に入れるか迷いましたが、「プリックゲーンカオソーイ」が市場で売られているので、この記事ではタイカレーということにしておきます。
個人的には日本人に一番馴染みやすいタイカレーかなと思いますが、なぜか日本ではかなりマイナーな料理です。
茹で麺と揚げ麺が混在していて、様々な風味と食感が一度に楽しめる料理。
食べたことのない方は、一度食べてみることを強くオススメします。
9.プーパッポンカリー
カタカナ表記 | プーパッポンカリー |
---|---|
タイ語 | ปูผัดผงกะหรี่ |
辛さ | |
クセ | なし |
- プー→蟹
- パッ(ト)→炒める
- ポン→カレー粉
- カリー→カレー
プーパッポンカリーを日本語にすると【蟹の卵とじカレー炒め】といった感じになります。
「炒め」なので、煮込み料理ではないのですが、カレー粉を使ったカレー風味の料理となります。
日本人にはとても食べやすく人気のタイ料理です。ピリ辛程度なので、辛いのが苦手な方でも食べられます。(ただし子供は注意)
プーパッポンカリーはメイン食材を変えると名前が変わってきます。
- クンパッポンカリー→海老
- ガイパッポンカリー→鶏肉
- タレーパッポンカリー→シーフード
番外編:その1【ゲーン】だけど……
- ゲーン→煮込み料理全般
ここまでは、ゲーンを「煮込み料理全般」であると同時に「タイカレー」ということで話を進めてきました。
しかし料理名に「ゲーン」とつくけど、日本人からタイカレーとは言われてない料理が意外と多くあります。
例えば、
- ゲーンジュー(タイ風あっさり野菜スープ)
- ゲーンヘット(イサーン風きのこスープ)
- ゲーンノーマイ(ラオス風たけのこスープ)
やはり辛いハーブスープといった感じのラインナップで、日本人的にはスパイスを使用していないとカレーとは呼ばないのかもしれませんね。(じゃあグリーンカレーは一体……)
番外編:その2【煮込み料理】だけど……+ゲーンの謎
最後に煮込み料理ですが、タイ人から「ゲーン」と呼ばれていないタイ料理を紹介しておきます。
例えば、
トムヤムクンなどがあるように「ゲーン=スープ料理全般」とも言い難いようです。
「ゲーン」の謎は深まるばかりですね。
タイのカレー9種類紹介のまとめ
いかがでしたでしょうか。
タイカレーにもたくさんの種類があることを知っていただけたのなら幸いです。
この記事を参考にして、ぜひあなた好みのタイカレーを見つけてみてはいかがでしょうか。